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ストレスを感じ取る力


イチロー選手は彼を担当していたグローブ職人が引退して新しい担当職人が初めてイチローモデルのグローブを納品した時に、「ストレスを感じます」と言ってグローブを返品したといいます。

人間は精神的または肉体的に本来の状態になれない状況に置かれると何らかのストレスを感じます。私はこの「ストレスを感じる力」は技術を向上させていく上でとても大事な感性だと思います。ビジネスの世界でも「ストレス耐性=ストレスに耐える力」だと思われがちですが、感性に蓋をして鈍感になればストレスは感じなくなります。本当の「ストレス耐性」とは「ストレスを感じながらも上手くストレス要素を回避する能力」だと思います。

守備の時に「ステップが合わなかった」とか、打撃の時に「詰まらされた」、ボールを投げた時に「抜けた」などを「ストレス」として感じ取り、そのストレスを回避するために自らの技術を磨いていくこと。「思い通りにプレーできない」ことに対してストレスを感じない選手は技術も向上しません。中にはストレスを感じないために「最初から想いを持たずにプレーする選手」もいます。特に後者はとても厄介です。

時にグラウンドで飛び交う罵声。

指導者からの叱責や罵声は少なからず選手にとっては「ストレス」となります。ストレスを感じ取る感性を磨くにはストレスを感じる経験が必要ですが、外的なストレスに対しては感性をシャットダウンする事で回避する傾向が強くなります。叱れば叱るほど「鈍感な選手」を育成してしまうことになります。

私は投手を指導する機会が多いのですが、ボールが抜けたり制球が乱れた時に「今のボールを投げた時にどんな感じがした?」という質問を繰り返すようにしています。本来の力を出しきれていないボールを投げた時に「ストレス」として認知させ、その時の状況をより具体的に回想させることでストレス原因を自分で特定出来るようになることを目指しています。

調子が悪くてマウンドでイライラする投手がいますが、私はそういう選手は「見所がある」と思います。少なくとも「ストレスを感じ取る力」はあるわけですから。表面的に平常心を装うことができればそれに越したことはないですが、よくても悪くても何も考えず淡々と投げる投手よりは技術の向上も早いです。


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