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投手にしかわからない『ブルペン』の経験


私の高校時代、1学年上に凄い投手が居ました。

プロ野球球団から調査書が届き、「県下No.1」とも言われた有名な好投手でした。その先輩は身長も私より10cm以上高く、球威、制球力、変化球のキレ、どれをとっても圧倒的な力の差を持った投手でした。3~4番手投手だった私はブルペンで並んで投げている時には劣等感しか感じなくて、

「モノが違うわ。横で投げていても自信喪失にしかならん。」

正直言って最初はブルペンでその先輩と並んで投げるのが嫌でした。

しかし、1学年上の主将(捕手)は「必ず隣で投げろ」と私に指示しました。

「あと1年で俺たちは引退する。きっと次のチームはお前がエースだろう。でも俺らが居るうちに彼と同等くらいの力をつけないとチームが強くならない。それに新チームになった時に『今年は投手が良くないから勝てない』と言われたら情けないだろ?並んで投げて、あいつと何が違うのか?どうやったら追いつけるのか?自分なりに考えながら投げろ。そしてあいつを追い抜け!」

それからの1年。

先輩の教えを胸に刻んで試行錯誤しながら投げたブルペンでの経験は私の財産です。

間近に目標となる先輩が居たことも幸運ですが、並んで投げることで「毎日、何を目標にして投球練習をしているのか?」「調子が悪い時にどうやって立て直しているのか?」「あの落差の大きなカーブはどうやって投げているのか?」「体の小さな自分でも活かせる『球速をあげるコツ』はないのか?」など、横目で観察しながら「いつか追い越してみせる」と思いながら黙々と投球練習に励みました。

あの時間がなければ、私の投手としてのキャリアは高校で終わっていたと思います。

「ブルペンでの投球練習はいらない」という指導者もいます。プロ野球選手のように投球スタイルが確立されていれば多くの投げ込みなどは必要ないようにも思います。でも試行錯誤が必要な小学校~高校くらいの間はたとえ50球でも良いので、「雑音を遮って自分の投球と向き合う時間」は必要だと思います。これは10年近く投手をやってきた私の確信です。

あと1ヶ月もすれば暖かい日も増えて、ブルペンを使う日も来るでしょう。

その時に「どんなプランを持って練習させるか?」コミュニケーションの戦略を練るのも良いと思います。体力や基礎技術の向上を鑑みながら「こんなプランで投げさせてみよう」「暖かくなったらこんなことにチャレンジさせよう」と思いを馳せるのもこの時期だからこそできることです。

「ブルペンでの試行錯誤の経験」は実戦とは違った別の価値があると思います。

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