近年の打者は軟式野球もヘルメットを被り、エルボーガードを装着している選手が増えました。安全対策が進化することはとても良いことです。しかし指導者は用具に頼らずに「安全にプレーする技術」を教える必要があります。
近年の高校野球では球速が150km/hを超える投手もいます。頭に当たればヘルメット被っていても重大な怪我に発展する可能性もあります。私は打者が打席で「安全にプレーする」ためには打席での目付けの意識が重要だと思います。
私が考える「打者の目付け意識」はイラストのようになります。
私は打者が打席で最も意識を高く持って欲しいことは「内角高めのボールに早く反応する」です。
内角高めは頭に最も近いため、反応が遅れるととても危険です。「振るかor逃げるか?」の判断を最も早くしなければならないコースです。常に「内角高めに来たら、どれくらいの速度で反応するか?」をシミュレーションしながら打席に立つことが、内角への対処の上達と危険回避のためには必要だと思います。
内角高めを空振りした時に「ボールをよく見ろ!」と怒っている指導者もいらっしゃいますが、安全確保の面から内角高めは「よく見ている場合ではない」です。
もし本当に内角高め、しかも顔寄りにボールが来たら、基本的には「後ずさりして避ける」ようにしましょう。最近の小学生は頭付近にボールが来た時に、「頭を下げてボールを頭の真上で通過させるような避け方」をする選手が増えました。この避け方はボールから目が離れてしまうのでとても危険だと思います。尻餅をついても良いので、後ずさりして出来るだけボールから目を離さないようにしましょう。ボールを見ていれば、当たる瞬間に体に力が入ることで防御にもなります。
更に、避ける時には軸足の踏ん張りを解いて捕手側の方に倒れるようにできればなお良いです。ボールが衝突するまでの時間を稼ぐこともできますし、当たった時の衝撃を少しでも緩和することができます。
あとは内角高めを起点に離れれば離れるほど「ボールを見る時間」を長くしていけば良いと思います。外角低めは最も長くボールを見る「猶予」があります。慌てて振らず、見逃す場合もミットに収まるまでボールを見極める習慣をつけましょう。
コースの判断を見誤る時もあります。しかし「近めの球は早く反応する」「遠いボールはできるだけ長くボールを見る」という意識で打席を繰り返せば、選球眼の良い打者に成長してくれると思います。