野球選手の多くは「上手くなりたい」「勝ちたい」と願って日々努力しています。指導者も「上手くなって欲しい」と願って情熱を注いで指導していると思います。
ところで「上手くなる」とはどんな状態を想像しますか?
①「できること」が増える
②「失敗」が減る
もちろん両方できることに越したことはないのですが、両方できるようになるには着手の順序があるように思います。
そしてこれらは順序を間違うと両方達成できないように思います。
①「できることが増える」とは、もともとできなかったことができるようになるわけですから、「挑戦する」という姿勢が必要です。積極的で楽観的な性格の選手は自発的に挑戦しますが、慎重な選手は躊躇します。上達をサポートする指導者は、まず選手に対して「挑戦する姿勢」が形成されるよう支援しなければなりません。
挑戦が始まった後は、上手くできるよう技術的な支援に移行します。
②「失敗を減らす」とは、もともとできることに対する確率を高める行為です。失敗が多い選手はプロセスに課題があるわけですから、指導者に求められるのはプロセス管理とプロセスを改善するための「技術支援」が主な役割となります。誉めても叱ってもあまり効果はありません。なぜなら技術支援にならないからです。
技術的なサポートをせずに叱るだけだと選手は、「失敗してはいけない場面」自体を回避するようになります。「やらなければ失敗しないから」です。
少年野球指導者が「なんでできないんだ!」と選手を叱責している場面の多くは②に該当するケースだと思います。つまり「上達する=失敗を減らす」という考え方を持った方が多いと考えられます。でも選手には「失敗してはいけない場面を回避する」という選択肢もありますから、野手の間に飛んだフライを捕りにに行かないなど、確実性を求められる場面を回避することで自分の身を守ろうとします。これが繰り返されると選手は積極性を無くしていきます。
特に小学生は「できることを増やす時期」だと思います。
「挑戦する心」を育み、最低限の技術指導とあとは挑戦を見守ること。
確率を高めるのは中学生以降で良いと思います。
確率を先に求めると挑戦しなくなりますから。