top of page

野球における『確率』に関する考察②


前回は野球における「確率」を判断材料にした考え方について書きました。今回は「確率を造る」ということについて書きたいと思います。

私はよく投手を指導する時に「如何にして1ボール2ストライクの状況を創り出すか」という話をします。相手が高校生になると「2ボール1ストライクの状況で自信を持って投げられる変化球をマスターすること」を要求します。これができると「勝てる投手」になる確率が上がるからです。

三振の前は当然「2ストライク」な訳ですが、その中で最も多いのは「1ボール2ストライク」です。これはストレートも変化球も、ストライクでもボール球でも投げられるカウントだからだと思います。相手打者が最も狙い球を絞りにくい状況です。実は「0ボール2ストライク」そこから打たれると監督に叱られるので外角のボール球、もしくはそれに近い球を投げることが多いので、3球三振って意外と多くありません

「2ボール1ストライク」は投手としては3ボールにしたくない場面です。ストライクゾーンに投げたいのが心理です。打撃側からは「バッティングカウント」とも言われます。ここでストレートしか投げられない投手は痛打される確率が上がります。「3ボールになる覚悟で変化球を投げられること」「3ボールにしても次にストライクを取る自信があること」がこのカウントで攻める姿勢を保てる条件になります。

これは

「抑える確率を高める手法を持っているか?」

「打たれる確率が高くなる状況を回避できる方法を持っているか?」

を意味します。私は打者としては左打者で、右投手のスライダーを打つのが得意でしたが、高校時代に「相手投手がスライダーを投げざるを得ない状況」を創り出すために外角のストレートを三塁側にファールを打つ練習に取り組んだこともあります。

確率に囚われると作戦や技術は限定的なものになります。

しかし「確率」をうまく利用すれば逆に選択肢は膨らみます

閲覧数:57回0件のコメント

最新記事

すべて表示

「できること」をやる、「考えて」やる

活動自粛から2週間が経過しようとしています。 私は職場の方も在宅勤務に切り換え得られていることもあり、家に籠ることが多くなって、仕事は捗るものの、身体を動かす機会が減っているのでどうも調子悪いです。 こんな時、選手はどうしているのでしょう? うちの選手の中には数名、私に自主練習の動画を送ってきた選手がいます。 「今、こんなことを頑張ってます!」 「自己流になっている気がして。アドバイスください!」

『ルールを守る』ということ

先日、ボーイズリーグの指導者講習会に参加しました。外部講師の講演を拝聴する、まぁよくある講習会スタイルではありますが、講師の方がちょっと面白い話をされていました。 競技にルールが設けられるのはなぜか? これには3つの理由があるそうです。 ①きょうぎ中の暴力をなくす ②対戦チーム間の公平性を保つ ③難易度を高めて競技を面白くする 特に③は目から鱗でした。 これまで私は特に②の観点で「ルール遵守」を選

『テクニック』と『スキル』

野球には「投げ方」「捕り方」「打ち方」などがあります。 確率高くプレーを成功させ、故障なくプレーを継続させるためにはある程度の技術を習得することが必要となります。当然私もチームではこれらの技術は指導します。 これらはいわゆる「テクニック」です。 野球におけるテクニックは「身体の使い方」「道具の使い方」にほぼ集約されます。 球が速い、捕球が上手い、などは「テクニックが高い選手」と言えます。 一方、こ

bottom of page