「投球フォーム」「捕球方法」「打撃のインパクト」などは野球の中でも基礎技術にあたるものです。身体が大きくなろうが、加齢によって体力が衰えようが、競技を継続する限り永遠に必要なスキルです。そして基礎技術を習得するためには基礎技術に精通した指導者の指導も必要ですが、「反復練習」も必要です。小学校で九九を覚えたり、漢字の書き取り、計算問題のドリルを行うのと同じようなものです。
「場を与え、やり方を教えれば、あとは勝手に基礎技術が身につくか?」と言えばそんな簡単なものではありません。私は反復練習の効果を高めるためには「集中すること」が重要だと思います。現代は我々が子どもの頃よりも周囲に情報があふれているからでしょうか。最近の子どもって本当に集中力が散漫な子が多いと感じます。選手の集中を保つために、私は以下の3点を心がけて指導するようにしています。
①指導ポイントは1日1個だけ
②同じリズムで練習させる
③「目配り」を求めない
①は一度にあれこれ言うと、選手が混乱して結果的に集中できなくなるからです。課題は1個ずつ解決していけば良いと思います。基礎技術習得に近道はないです。
②は「動作の規則性」を造ることで集中度が増します。ティー打撃であれば、「できるだけ同じ間隔でボールをあげる」などです。リズムが一定だと、動作を再現する難易度が下がります。
③は何のことか分かりにくいですですね。実戦形式の練習であれば、グラウンドのいろんなところに「目配り」することで情報収集をしながらプレーすることを求めます。逆に反復練習の場合は「指導したポイントを再現すること」に集中させるために、余計な情報を与えたり、情報収集することを求めないようにします。
職場でも上司が「○○やった?××ができてないよ!△△もあるよ!」と過剰に干渉する職場ほど、部下が集中力を欠く傾向が有るように思います。「視野を広く持つこと」が大事な場面もありますが、それは「すべてが中途半端になるリスクもある場面」だと思います。