私はマーケットリサーチの仕事をしていた時期も長かったので、統計に関する本を読むのも好きです。もちろん野球は好きなので、「セイバーメトリクス」の本を読むことがよくあります。
もともと子供の頃から物事を体系的に理解することを好む性格ではあったのですが、結果よりも「なぜこの結果は起こったのか?」といった原因に興味をもつ子どもだったように思います。 野球においても同じです。よくこのページで「野球は確率の競技」という趣旨のコメントを書くことがあります。しかし投手としての配球や指揮を執る時の判断を確率重視で行なっているかというと決してそうではありません。以下は私が思う「野球における『確率』との向き合い方」に関する考察です。
「プレー選択と確率」の関係は以下のように考えています。
①100%に近い確率を求められるプレー
②より確率の高い方法を選択することが求められるプレー
③確率の低い選択が許される状況のプレー
④確率を無視してやらなければならないプレー
①は「ボールを捕る」とか「打球に合わせて進塁する」といった「当たり前のプレー」です。このプレーは普段の練習から100%を目指して練習に取り組まなければなりません。
②は無理をする必要がない状況です。例えば2アウト走者なしの時に浅い外野フライが飛んだ時。無理に突っ込んで後ろにそらして長打にするくらいなら、単打に止めて確実に捕球するという選択をするようなプレーが挙げられます。
③は挑戦が許される状況です。点数でリードしている状況での盗塁など、失敗しても致命的な状況にならないプレーです。
④は一打サヨナラの場面での守備で緩いゴロが飛んできた時など「ミスする可能性があっても思い切って突っ込む」
といった状況が挙げられるでしょうか? 野球は確率を判断材料にすることはあっても、確率を判断基準にしてはいけないと思います。「いつも100%」「いつも高確率」ばかりを求めていると、④のような場面でボールを待ってしまったりします。時にはリスクをとって挑戦するからこそ、ビッグプレーも飛び出したり、大逆転が起こると思います。
上記4つの判断は「確率」を知ってこその判断です。 子どもたちは技術だけでなく判断力を磨いていかなければなりません。指導者もいつも「確実に」ばかり言わず、「リスクを取れ!」と背中を押すことも必要だと思います。
次回は「確率」に関するもう一つの考察を書きたいと思います。