「練習は量ではない。質だ!」と唱える指導者も多数いらっしゃいます。私も質の低い練習をダラダラ長く続けることは良いことだとは思いません。しかし、選手は自らが取り組む練習の「質の高さ」をどうやって判断するのでしょうか?
私は昨年、仕事で部下に対して「商談数を増やすこと」を要求しました。まず量をこなし、多数の経験を積まないと商談の質を向上させることができないと判断したからです。多数の商談をこなすことで部下の商談成功率は飛躍的に向上しました。商談を作るために様々な試みに挑戦し、経験を積むことで部下はレベルアップを遂げてくれたと思います。取り組みが遅かった部下は成果が上がるのが遅れました。
野球も同じだと思います。やる前に「良し悪し」を論じるより、やってみて判断した方が良いと思います。試してみて芳しい成果が出なければ「この方法ではダメだ」とわかっただけでも収穫です。「やるかやらざるか」と立ち止まっていてはいつまで経っても結論は出ず、成果が出ることも遅れます。「故障のリスクがある」といった重大なリスクがない限り「やってみて結論を出したほうが良い」と思います。そのためにもある程度の「量」をこなすことは必要ではないかと思います。
「無駄を恐れること」は「機会を見過ごすリスク」と背中合わせだと思います。大人と子どもの大きな違いのひとつとして「経験の差」があります。経験を積ませないことは「大人に近づくこと」を阻害しているとも言えると思います。
まわり道になることもあるでしょう。でも指導者が「選手のまわり道に付き合う覚悟」さえあれば、そのまわり道は決して無駄にはならないと思います。