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指導者に求められる『2つの”目線”』

我々が子どもだった頃、野球チームには多数の子どもが在籍していました。

チームが強化される力の源泉は「評価」と「競争」でした。


指導者が「選手を評価する」という行為を基準に、高い評価を受けるための選手間の競争によってチームが強化されていきました。当然「人数が多いチーム」「個々の選手の能力が高いチーム」にはよりハイレベルな『競争』が繰り広げられました。言い換えれば、指導者が「評価の目」を持ち、「競争の構造」を形成できれば必然的に強いチームが作られる仕組みを作ることができました。

では現代のチーム運営ではどうでしょう?


一部の強豪チームでは同じ構造が続いています。

「チーム成績」「指導者の経歴」などによって多くの選手を集め「競争の構造」を作ることができれば、ある程度は継続的に良い成績をあげるチームを作ることができます。


しかし世の中は少子高齢化の時代です。

野球チームの統廃合が進み、合同チームなども多数見受けられます。選手不足に悩むチームも少なくありません。高度成長期のような「評価と競争」だけではチームが運営できない時代になっています。少人数のチームでは競争も激しくないため、能力的にも幅広い選手たちが試合に出場することができます。一方では「能力をあげなくても試合に出られる」とも言えます。こうしてチーム間の格差も広がる傾向にあります。


これからの時代、少人数のチームが生き残っていくために必要なことは指導者が「2つの目線」を持つことではないか?と思います。


①選手の全てのプロセスに伴走する「選手に寄り添う目」

数少ない選手を確実に戦力化し、成長に導くためにはこれまでは必要なかった「目標設定」「努力するプロセス」に寄り添うような、ある種保護者に近い目線が必要になっていると思います。成長のために「何が課題か?」「どんな目標を設定すべきか?」「目標達成のためにどんな努力が必要か?」「課題の克服状況は順調か?」など、全てのプロセスに寄り添うようなきめ細かい伴走が必要となっているように思います。そのためには選手目線まで下りて評価者とは異なる視点で野球を考える感性が求められているように思います。


②従来よりも更に具体的かつ透明性の高い「評価の目」

一方、従来的な「評価の目線」も必要です。ただ世の中は昔よりも「透明性」を求めています。「評価の基準は何か?」「評価結果の根拠はどんな要素か?」などを明確にしたコミュニケーションが求められているように思います。「監督の評価は(基準がよくわからなくても)絶対・・・」みたいな評価基準は通用しない世の中に向かっているように思います。


「評価すること」だけならある程度の知識や経験があれば簡単です。ある意味素人でもできます。結果論も通用するので。しかし①をやり切るためには


・選手の課題をより具体的に見立てる知識と経験

・課題克服のための方法を指導できるスキル

・指導者のキャパシティに見合った受け入れ人数を超えないこと


などの要素が必要となってきます。


野球はそこそこ競技に必要な人数も多いスポーツです。少子化時代だからこそ「全員を戦力化させる」という意志を持って、上記のような「2つの目線」とそこに必要なスキルを身につける必要があるように思います。


毎年のことですが、この時期になると新年度の選手の受け入れが始まります。もちろん入部は嬉しいですが、手放しに喜んでばかりは居られません。例えばU-12クラスの「能力が顕在化している選手」が来た時は「このレベルの選手を指導できるスキルを自分が有しているか?」と考えたり、逆に能力が顕在化していない選手の場合は「この子を成長させてあげられるスキルを自分が有しているか?」などいろんなことを考えます。

それは「育成に対する責任」があるからです。


自分を信じて門を叩いてくれる選手が増えるほどにその想いが強くなりますし、その不安があるからこそ、継続学習の必要性を強く感じます。

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