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『バットを振れ!』と言う前に

前にこのブログでも書いたように朝、中学生にバッティングを教えています。

私はもともと投手だったので凄く打撃に造詣があるわけでもないのですが、私も勉強しながら、選手と一緒に試行錯誤しながら教えています。

先週から4月から中学硬式に取り組む新入生も参加しています。


これは前から感じていたことですが、最近は打席でオープンスタンスで構える選手が増えています。ボールの視界が広がるのでオープンスタンス自体は悪くないと思います。しかし、その影響もあって前の肩が早く開いて「ヘッドが走らない選手」が増えています。


この写真は広島カープの鈴木誠也選手です。

硬いバットがしなりながらスイングされ、インパクトの直前には「逆しなり」を起こすくらいバットのヘッドが走っています。もちろん鈴木選手はプロでも指折りのパワーヒッターですが、「ヘッドを走らせる技術」がなければこういうスイングにはなりません。力だけで打球を遠くに飛ばせるならプロレスラーは打球を遠くに飛ばすはずですが、当然ながらプロ野球選手ほど飛ばすことは不可能でしょう。「バットを振る技術」が違うからです。


指導者は選手に「バットを振れ!」と言います。

それ自体は間違いではないですが「振っていれば自ずと技術が身につく」かと言えば、それは「No」だと思います。特に学童野球から硬式バットに持ち替えて闇雲にバットを振り続けると腰椎分離症などの故障に見舞われるリスクが高くなります。なぜなら「重いバットを振れる技術」がないからです。


バットはグリップよりもヘッドに重量がかかっています。これ自体にも意味があって、重いヘッドを走らせてこそ飛距離や打球速度が出ます。先っぽが重たいものを走らせるには遠心力をうまく使わなければならず、遠心力を働かせるにはそれなりの「振り方」があります。振り方を教える前に「振れ!振れ!」と強要するのは危険極まりないです。


現代は少子化の時代です。

莫大な練習量を課して、その練習量の中で選手本人が技術を自分で修得して、その過程で故障することなく技術を修得した者のみがレギュラーとして生き残るようなサバイバルゲーム形式では少人数のチームは立ち行かないと思います。全ての選手を戦力化するためには「故障しない技術」「パフォーマンスが向上する技術」から指導していく必要があります。


「俺らの時代はひたすらバットを振ったもんだ」

という経験則だけで自身の主張の正当性を訴えるような指導は、一部の「大所帯で厳しい競争が存在しているチーム」以外では通用しない時代になっているように思います。


打撃は成果が出るまでに最も時間がかかる分野だと思います。

まぐれで結果が出る時もありますし、捉えた打球が不運にも野手の正面をつくこともあるので、結果だけでは評価できない部分も多々あります。結果の再現性を高めるには技術を身につけることが最も有効です。


「パワーはあるけど技術のない選手が技術を身につける」

「パワーはないけど技術のある選手がパワーを身につける」


どちらが難易度が高いかというと明らかに前者です。パワーだけで野球をやっている選手は往々にして変な癖がついているからです。パワーはトレーニングを行えば比較的簡単に身に付きますし、パワー向上の効率が最も高いのは高校生の年代です


「振れ!」と言う前に「振れる技術を持ってるか?」をまず見ることが大事だと思います。


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