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「挑戦」のために大人に必要なこと

私が高校に入学した時、入学前の説明会で野球部に入部を希望した選手が30人近く居ました。学年の半数以上が国公立大学に進学する学校だったので学校から学業に対する要求が厳しく、授業中にある先生から「野球やってても国公立大学には行けんぞ。プロ野球選手になるわけでもなければ甲子園に行けるわけでもないのに」と罵倒されることもありました。

夏を過ぎ、冬を越えて2年生になった時、同級生部員は13人まで減りました。


今思えば、大人が子どもの決意を邪魔していたんですよね。


そんな中、面白い先生がいました。その先生は進路指導の先生で担当は数学。

我が校の卒業生で、「生きている間に母校が甲子園に行く姿を見たい。お前たちは難しいことに挑戦しているんだ。そんなに簡単に結果なんて出ない。でも逃げずに頑張れ!」と私の背中を押してくれました。もともと私自身、数学が得意だったということもあり、授業中は難しい問題ほど「答えろ」と当てられ、板書に間違いがあっても「そのアプローチは面白いな」と言って問題を解こうとする姿勢を評価してくれました。


私はその先生のおかげで「難しいからこそ挑戦する価値がある」「挑戦を続ける限り『負け』はない」「無駄な努力はない」ということを学びました。


残った選手が野球ばかりやっていたのかというとそうでもなくて、成績が優秀な選手もいました。残った13人のうち4人が国立大学に進学しました。今では「上場企業で活躍する人」も居れば、「中学の教頭先生」「有名私立大学の大学教授」など、教壇に立つ者もいます。みんな必死になって「学業との両立」をやり切りました。

物事は難易度が上がるほど結果が出にくくなります。

「結果が出る確率」だけに目を取られると、「無駄」「非効率」という言い訳をして難易度が高いものを回避するようになります。そうして未知のことに挑戦することもなく、狭い視界の中で物事を考えたり、物事自体を「面倒臭い」と思うような思想を持ち始めて行動量自体が減っていくこともあります。


大抵の場合は結果が出なかった時に「再挑戦orあきらめる」が大きな分岐点になっていて、どちらを選択するかにおいて、周囲の大人の意見が大きく影響します。「結果が出ない人」は「簡単にあきらめる人」「やらない理由から入ってしまう人」だと思います。


親が「我が子の成功を願うこと」は当然のことだと思います。

しかしそれは「成功する確率が低いことを回避させる」のではなく、より大きな成功を掴むために「機会を提供すること」が必要なのではないでしょうか?結果ばかりで我が子を評価するようになると、子どもは大人よりも狭い視界で「成功する確率が高いもの」を選別するようになり、「消極的な子」になっていきます。


大人の組織も同じです。

ダメな組織には「批判的評論家」がたくさんいます。

何かに取り組もうとすると事あるごとに「リスク」を口にしてブレーキをかける。「できない理由」を正当化して行動しなければ失敗することもないし責められることもない。「批判的評論家」の多い組織は組織自体が硬直化し、やがて衰退します。


私は子どもが挑戦しようとする時、「確率」や「リスク」を掲げて子どもにブレーキを欠けるのではなく、前述の恩師のような「子どもの背中を押せる大人」になりたい。挫折に直面した子どもに対して「もう一度挑戦しよう」という心を造りたい。


先週、新チーム初の公式戦は大敗でした。

まだまだ課題は山のようにあります。中には難易度の高い課題もあります。だからこそ「やっても無駄」と自分自身が諦めたり「仕方ない」と選手にあきらめを促すのではなく、この大敗を「これから1年間のスタート地点」と位置付け、選手の挑戦を見届け、背中を押していきたいと思います。

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