top of page
  • Baseball-Knowledge

『テクニック』と『スキル』


野球には「投げ方」「捕り方」「打ち方」などがあります。

確率高くプレーを成功させ、故障なくプレーを継続させるためにはある程度の技術を習得することが必要となります。当然私もチームではこれらの技術は指導します。

これらはいわゆる「テクニック」です。

野球におけるテクニックは「身体の使い方」「道具の使い方」にほぼ集約されます。

球が速い、捕球が上手い、などは「テクニックが高い選手」と言えます。

一方、この「テクニック」と似た言葉で「スキル」があります。

「スキル」はテクニックに比べるともっと思考を伴ったような技術です。日本語では「技能」と訳されることもあります。教養や経験によって習得されるものと言われます。経験を積み、自ら思考することで「広範囲な情報収集」「正確かつ素早い情報処理」が伴ったテクニックの駆使がなされるような状態が「スキルの高い選手」と言えると思います。

私が子どもの頃に比べると野球は高度化しています。

より細かな「テクニック」が指導され、トリックプレーの練習を繰り返し行ったり、バントもサインによって転がす方向まで指示されるチームもあります。より高度なテクニックを磨き、緻密な作戦を駆使して勝利をつかもうとするチームが増えています。

こうした事細かに作戦や指示がされるチームでは選手の思考力が育たない傾向を感じます。

先週の試合で、来年4月に入団予定の小学生を起用しました。

その子は三塁を守っていたのですが、「ポジショニングが違うなぁ」と思いながらもその場は黙って見ていて、ベンチに戻ってきてからその選手に質問しました。

私「サードって三塁線と三遊間、どっちに打球が飛んでくることが多い?」

選手「三遊間です」

私「じゃぁ2アウト2塁で、どっちを抜けたら走者は本塁に帰ってくる?」

選手「どっちも帰ってきます」

私「打者にヒットを打たれないことと走者を本塁に返さないことのどちらが大事?」

選手「走者を返さないことです」

私「じゃぁあの場面はどの辺を守ったほうがいいと思う?」

選手「三遊間寄りですか?」

私「正解!」

ひとつ例ですが、スキルの高い選手はこの会話をひとりで自問自答して行動に移します。こんな自問自答と行動を繰り返して「スキル」を身につけていくと思います。指導者が大声で「サード!2アウト2塁だ!三遊間を詰めろ!」と指示するだけでは選手の思考力は向上しません。

私が選手に身につけて欲しいのはテクニックだけではなく、思考を伴ったスキルです。合理的に思考して自ら決断し主体的に行動する。そんなスキルは野球以外でもきっと役立つはずです。


閲覧数:695回0件のコメント

最新記事

すべて表示

「できること」をやる、「考えて」やる

活動自粛から2週間が経過しようとしています。 私は職場の方も在宅勤務に切り換え得られていることもあり、家に籠ることが多くなって、仕事は捗るものの、身体を動かす機会が減っているのでどうも調子悪いです。 こんな時、選手はどうしているのでしょう?...

『ルールを守る』ということ

先日、ボーイズリーグの指導者講習会に参加しました。外部講師の講演を拝聴する、まぁよくある講習会スタイルではありますが、講師の方がちょっと面白い話をされていました。 競技にルールが設けられるのはなぜか? これには3つの理由があるそうです。 ①きょうぎ中の暴力をなくす...

「排他的思想」では野球は上達しない

私は子どもの頃から「他人の指図を受けるのが嫌いな子」でした。 小学生の時から野球をやっていましたが、技術指導をされても「何か違う」と思えば指導者の指示にも従わないような本当に生意気な子どもでした。 まぁ「生意気なクソガキ」ですね。...

bottom of page