現代野球では年々二遊間の運動量が増えているように感じます。
中高校生の筋力が向上していることで打球の速度アップにより、10年くらい前と比較すると全般に二遊間の守備位置は深めになっています。そしてこれは高校生に顕著ですが、打球の飛距離が伸びたことにより外野手が深めに守るようになりました。中継プレーや時にはクッションボールのカバーリングなど、二遊間の選手がカバーしなければならない範囲も広がっています。
器用なだけでは二遊間は務まらない時代になってきたように感じます。
少年野球の守備練習を見ていると面白いことに気づきます。
外野からの中継プレーの際に、外野からの送球がノーバウンドでくるか、それともワンバウンドになるかは「(外野手の)誰が投げるか?」よりも「(中継に入った)誰が捕るか?」の方が送球の質への影響が大きいです。これには明確な理由があります。
中継に入った時の内野手の動きは以下の図のようになります。
中継に入った時にワンバウンド捕球が多いのは、中継に入った内野手が①〜②でボールに寄りきれていないケースも多いのです。図で言えば③の地点でボールを待っている選手が中継に入ると送球がワンバウンドになるケースが増えます。指導者は外野手に「ちゃんと投げろ!」というばかりではなく、時には「中継がボールに寄れているか?」を疑う眼も必要です。
「動ける内野手」と「動けない内野手」の中継の入り方を比較してみましょう。
「動けない内野手」は外野手に寄りきれないため、②’の地点で正対してボールを捕球します。そこから「捕球しながら静止→折り返し→送球」という流れになるので送球動作も遅く、体重移動が使えないので送球にも力がありません。
「動ける内野手」は②で外野手にしっかり寄って、外野手からのボールの勢いに合わせて②→③の距離を調整しながら半身で捕球します。②→③の体重移動はそのまま送球の勢いとして使えるので、力のある送球が投げられます。
中継プレーにおける内野手の動きで相手走者の進塁は大きく変わります。
不思議なもので、中継プレーで大きく動ける選手ほど「●●くんは肩が強い」など外野手の状況を細かに把握します。「自発的に動く」という経験がチームメイトの能力をインプットすることに寄与しているからです。動かない選手は「あいつの送球が悪い」としか判断しないので、相手の肩の強さに関係なく同じ場所に入る傾向が高いです。
上記は「動ける内野手」と「動けない内野手」の差を表した一例です。
以上のような理由で小・中学生の内野手は「堅実さ」よりも「動けている」ことの方が大事だと思います。年齢が上がるとともに打球も速くなり、カバーする範囲も広がります。仮に手捌きがうまくても、動けなくては周りのレベルが上がった時についていけなくなります。