この動画は秋季関東大会に出場していた健大高崎高校のシートノックです。
流石に群馬県1位で関東大会に進出してくるだけあって守備は上手いです。ただ上手いだけでなく、他のチームと大きく違うのは「足の動き」です。健大高崎の選手は捕球の時も中継に入る時も小刻みなステップでよく動きます。
私は野球選手が「足を動かすこと」は必要不可欠なことだと考えています。
例えばキャッチボールで「捕球する」という行為も3つくらいに分類できます。
①単純に「捕球する」
②捕球し易い位置まで移動して「捕球する」
③捕球し易い位置まで移動し、更に送球に移行し易い体制を整えて「捕球する」
①〜③における「足の動く量」は
③>②>①の順です。
学童野球で指導者がシートノックの時に「捕ってから早く投げろ!」と指示しているシーンを見かけますが、「捕球→送球」の動作が遅い原因のほとんどはフットワークが不十分なことが原因となっています。
逆に言えば「足が動けば手は動く」のです。
ヤクルトで活躍した宮本慎也氏も「守備で体制が崩れても足を動かせば素早く体制を立て直せる」と何かのインタビューで仰っていたことがありました。
フットワークを指導せずに「早く投げろ!」と指導すると、選手は腕の振りを小さくして投げようとするでしょう。体の小さい小学生が足を動かさずに腕の振りを小さくして投げると、送球が弱いだけでなく肩肘を故障するリスクも高まります。
ではどうすれば「足が動く守備練習」を行えるか?
私は指導者が留意することは以下の3点だと思います。
(1)ノックの打球は中速もしくは低速の打球を打つこと
速い打球だと恐怖心から足が止まってしまうので、足を動かしたければ比較的緩いボールを打ってあげる方が良いと思います。
(2)ペースを早めにして全体のリズムを作ること
ペースが遅いと全体的に緩慢になります。少し急かすくらいのペースでボールを打ってあげると速いペースに選手が慣れてきて、足が動き始めます。
(3)怒らない
これは結構大事だと思います。指導者がガミガミやってると選手は慎重になりすぎて動きが止まったり、止まるまでいかなくてもスタート時に躊躇するようになります。怒鳴るよりも動けるように後押しとなるような声かけが必要だと思います。
足が動く選手は上達する確率が高いと思います。
逆に足が動かない選手は必ずどこかで行き詰まります。
経験則で言うと、高校くらいで行き詰まる可能性が高いです。足が動かないと動画のようなシートノックのペースについていくこともできないと思います。
この週末も練習や試合が行われると思います。
「捕れるか捕れないか?」には一度眼を瞑って、「足を動かす」をテーマにやってみませんか?