「上手な選手はキャッチボールの質が高い」
私が野球を始めた頃、当時の指導者がよく言っていた言葉です。その言葉の影響なのか、私は現役時代から指導者になっても相手チームのキャッチボールを多分他の人よりも注視する癖があります。選手の指導をお願いされた時も、まずはキャッチボールを診ます。選手や相手チームの情報を収集する上で「キャッチボールの質」にはとてもたくさんの情報量が含まれています。
<私がキャッチボールから読み取る情報>
①捕球の「タイミング」
「捕る」「捕らない」だけでなく、「タイミングよくグローブを出しているか?」「グローブを閉じるタイミングは合っているか?」などを細かく見ると、その選手の運動神経の発達度合いを垣間見ることができます。
②送球精度の「根拠」
スローイングの良い選手は「良い送球ができる根拠」を持っています。「動作の正確さ」「上半身と下半身の動作バランス」「足の踏み出し」「体重移動」など。そういう「良い送球ができる根拠を持った選手」に対しては打球が飛んだ時などの対策が変わります。
③足運び
捕る時の足運びを見ている方は結構多いと思うんですが、私は「投げる時の足運び」も見ています。投げる時に股関節があまり動かない子は守備範囲が狭かったり、打撃の時に外角球が苦手なケースもよくあります。
④捕球→送球のインターバル
捕球してから送球までに多く間をとる選手は「集中力が低い」「プレーが消極的」のどちらかに該当するケースが多いです。
これらはほんの一部です。「キャッチボールの質」の中には膨大な「選手やチームを見立てる情報」が含まれています。これらを兼ね備えた選手が多いチームは、高い確率で「強いチーム」だと思います。
ボールを扱うことも増えてくるこの時期、高度な技術練習の前に「キャッチボール」を大切にして欲しいです。