長く野球に携わっている私から見ても、野球チームって少なからず封建的な雰囲気を持っていると思います。「監督」という絶対的な存在が居て、チームによって差はあるものの何らかの上下関係がある。組織である限り、その体を保つためには致し方ないことではありますが、そこを履き違えてしまうと「人が育たない組織」になってしまいます。
会社でもそうですが、絶対的な権限を持つ管理者が居ると、そこで働く人は「管理者の判断」を基準に行動するようになります。管理者が「白」と言えば、黒いものも「白」。人は判断することをやめ、管理者に依存するようになります。
我々野球指導者は、勝利を目指し、技術を修得するプロセスを通じて「自律した人間の形成」を目指して居ます。君臨することで選手や保護者に崇められることが目的ではありません。だからこそ常に「自律を促すこと」が必要だと思います。 「勝っても負けても『みんなの責任』」です。
指導者が「負けたら俺の責任だ」と言うのはカッコいいですが、それは選手の自律を阻んでいるように思います。負けた時に誰かのせいにすることで、一時的に気は晴れるでしょう。でも責任転嫁は依存心と表裏一体です。レギュラーも控え選手も指導者も、全員が結果責任を自責で捉えられるのが本当の意味で「強いチーム」だと思います。
自分の結果を自分でコントロールする「自律した人間」になるためにも、「依存心の芽」を積むことも大切なことだと思います。