私は他の競技は分かりませんが、野球に関して言えば反復練習は絶対に欠かせない練習だと思います。しかし反復練習ってあまり良いイメージがないようにも感じています。「退屈」「封建的」「知的ではない」「非効率」などなど。でもそれは反復練習自体の問題ではなく「反復練習のやり方」の問題だと思います。
私は反復練習は「技術の再現性を高めること」が唯一最大の目的だと思います。繰り返し取り組むことで「できる確率」を高めること、そのために取り組みます。だからこそ以下の点に留意すべきだと思います。
①「反復の量」は質が保てる範囲内に留めること
例えば体力に乏しい小学生に、体力に見合わない量を設定すると「量をこなすこと」が目的になってしまい、質が低下します。質が低下すると技術の再現性が落ちるので、本来の目的が達成できなくなってしまいます。
②求めることはシンプルに
反復練習は「身体の使い方」を習得する場合に多く用いられますが、習得したい箇所を絞ることが重要です。例えば「ゴロ捕球」の反復練習を行う時も「今日は足運びを習得する」「今日はグラブ捌きを習得する」など、テーマを絞り込むことが重要です。「足が・・・、グラブ捌きが・・・」と指導者がアレコレ思い付きのように指導すると集中力が落ちて、成果が中途半端になります。 そしてこの「重点箇所」を事前に伝え、「他のことは言わないという覚悟」が指導者には必要だと思います。
③反復練習こそ「プロセス重視」
反復練習で最も回避すべきは「質の低下」です。「質」とは「正確に動作を再現すること」です。繰り返しやっていると集中力の低下や身体の疲れなどによって動作精度が低下してきます。そこで放置してしまうと再現性が向上しません。「もっと足を上げて!」とか正確な再現をサポートするような声かけが必要だと思います。体力的な問題で質が低下してきた場合には中止することも時には必要だと思います。
④終わったら「とにかく誉める」
「反復練習が好き」という子はあまり居ません。しかし能動的に取り組む子はいます。見ているとそういう子は「目標達成意欲」が高い子です。「目標達成意欲」を形成するためにも終わったら細かなことは言わず「よくやった」と誉めてあげましょう。「やりきったこと」を選手と一緒に喜びましょう。もし動作精度の低さを指摘するのであれば、それは終わった後ではなく、やっている途中で指摘すべきだと思います。
「反復練習の質」を高めるサポートをすることも指導者の大事な仕事だと思います。