• Baseball-Knowledge

臥薪嘗胆


今日はうちのチームにいるひとりの選手の話です。

彼は3年生でポジションは投手。下級生の時から時折登板し、将来の主戦投手として期待された存在でした。しかし最上級生になってからは結果が出ず、更に故障もあってエースの座はもちろん、試合出場の機会さえなくなってしまいました。

膝の故障で戦線離脱が決まった時、彼と話をしました。

「投手として走るトレーニングができないのは凄いハンデだ。しかし『復帰して再びマウンドに立つこと』『エースナンバーを奪回すること』のためには『今できること』をやるしかない。キミは投手としては腹筋が弱い。膝に負担をかけずに腹筋を強化することはできる。『走れないこと』は『腹筋を集中的に強化するチャンス』と捉え、『チームNo.1の腹筋力』を目指して欲しい。」

彼は腹筋のトレーニングを欠かさず取り組みました。また全体練習でも献身的にサポート役に徹し、自分が出場できない試合でも先陣を切ってベンチで声を出し、同級生や下級生を応援しました。その姿を見て「復帰戦は絶好の場面を用意してやりたい」と思いながら膝の回復と復帰のチャンスを伺っていました。

先週の土曜日。

先発の下級生投手が順調に立ち上がったものの中盤に捉えられ始め、前半のリードを失った時に「ここだ!」と思って、彼をリリーフに送り出しました。練習を見ながらある程度実力は把握しているので「今の彼なら抑えられる」と確信しての投入。彼は期待に応えて後続を断ってベンチに帰ってきました。そして同点で迎えた最終回、円陣を組んだ時。

「俺が監督になってから引き分けが多いんだよ。もう引き分けはいいだろ?相手は春季県大会3位のチームだけど、ここまできたら勝とうぜ。勝って●●の復帰戦を勝利投手にしてやろうぜ!」と言って選手を送り出しました。

そして最終回の攻撃。。。 決勝打を打ったのはチャンスに打席の回ってきた彼でした。もともと打撃の調子は上がっていたのですが、見事レフト戦に適時2塁打を放ちました。その裏も相手打線をピシャリと抑え、彼は復帰戦を「勝利投手+決勝打」で飾りました。

「臥薪嘗胆」 中学生の彼にとって故障は本当に苦しい試練だったと思います。しかし故障中もその境遇に耐え、目標を失わずに努力してきたことで、見事に結果を出しました。強豪チームに勝ったことと同じくらい、我がチームにとっては大収穫の試合でした。


閲覧数:8回0件のコメント

最新記事

すべて表示

週末は春の公式戦に向けた最後のオープン戦を行うために千葉県まで遠征しました。 うちにある故障中の1年生選手がいます。 最近、腰痛によって戦線を離脱しました。今回の公式戦出場は難しく、今回の遠征も帯同はしているものの、試合出場は見送ることにしました。 球場に到着して、鍵が開くまでの間、選手は球場周辺のスペースを使ってウォームアップを行います。当然私は選手のコンディションを診るためにアップを注視してい

「企業」は経営者と労働者が存在し、労働者は「労働」と「対価」のバランスによって成り立っています。対価(=給料)を貰うために労働が求められ、組織全体の生産性を高めるために会社の規則を遵守することを求められます。対価の代わりに何かしらの「権利」によって労働が報われる場合もあります。つまり労働者が「権利」を主張するのもその背景には「労働」があるからこそ成り立ちます。「労働者」「経営者」それぞれにプロフェ

子どもは周辺にいる大人の影響を受けて成長します。 何事においても一番近くにいる大人といえば「保護者」ですし、学業であれば学校の先生、野球であればグラウンドにいる指導者かも知れません。 「私は我が子を甘やかしています」と公言する保護者はほとんどいないと思います。「立派な人に成長して欲しい」という想いを持って、時に優しく、時に厳しく育てていると思います。 さて「厳しさ」とは何でしょう? 「あれやった?