今日は雨で練習の開始が遅れているので、少し時間をかけていつもと違った観点の話を書きたいと思います。
野球の練習では大量のボールを使用します。当然ながら「ボールの回収」という作業が発生します。数年前から思っていましたが、最近の子どもはボールをよく見落とします。ひどい場合には自分の眼の前にあるボールを見過ごしたり、グラウンドを見渡した時にボールが落ちていることに気づかない子は結構います。最初は「物が豊かな時代の子だから、物に執着しないのかな?」「面倒なボール拾いが嫌で避けているのか?」と思っていたのですが、どうも違うんではないか?と思っています。
以下に記載することは私の『仮説』です。決して正解とは限りませんが、数年間子どもを見てきた中で「そうなのでは?」という思いが日々強くなっていることです。
幾つかの文献を読みましたが、スポーツにおける「視野」とは
「自分の身の回り360°の『時間軸での変化』を捉える能力」だと思います。「変化」なので「Before」と「After」があります。この2つを両方とも記憶している人は「ボールが落ちていないグラウンド」「ボールが落ちているグラウンド」の差を察知します。
①「ボールは拾わなければならない」という価値観
②数秒間の「Before」「After」に差異を感じる感性
この2つがあれば、選手はボールを拾うはずです。そして野球をやっていれば、ほとんどの子は①の価値観は保有しているはずです。「落ちているボールを拾わない」のは②が原因である可能性が高いと思います。ボールが散乱している状態に慣れてしまったり、「ボールがすべて回収されたグラウンド」を記憶していない選手はボールが落ちていることに違和感を感じないのだと思います。物が散らかった部屋で生活している人が掃除をしないのは「物が散らかっている状態」に慣れているからだと思います。それと同じです。
刻々と変わる状況の変化を正確に捉え、的確な判断や行動をするためにも「視野」は大切です。視野の狭い選手は状況判断が不正確なのでとんでもないところにボールを投げたり、全然間に合わないのに次の塁を狙ったり、そしてその逆の行動もあります。 うちのチームでもボール拾いに目敏い選手は、状況判断が比較的正確な選手が多いように思います。