もう10年以上前の話でしょうか。久々に愛媛の実家へ帰省した時に、ある私立高校に新設された野球部の試合を観に行きました。そのチームは懇意にしていた高校の大先輩が野球部創設に関わっていたご縁で観戦に伺いました。新設されたばかりで部員は全員1年生でした。
1年生だということを差し引いても選手の基礎技術は低く、中堅の公立高校に何とか延長で勝ったくらいのレベルではあったものの、とても興味深いチームでした。何が私の興味を惹いたのか。それは『決まり事の徹底』でした。「控え選手の役割分担」「サインを見るタイミング」「コーチャーの声かけ」「守備姿勢」「カバーリング」何を見ても「チームで決められているんだな」と分かるくらい選手が忠実に『決まり事』と思われることを誰一人疎かにすることなく徹底していました。
一緒に試合を観戦していた大先輩は「今日が公式戦初勝利だよ」と言っていましたが、私が「このチーム、絶対強くなりますよ。『決まり事』が明確で徹底されるチームは強くなりますから」と言いました。
2年後、その選手たちが最上級生になった時にそのチームは選抜高校野球大会に初出場し、しかも優勝しました。夏の選手権にも出場し、準優勝を遂げました。私が観戦したチームは今では県内でも「強豪私立」と目される済美高校です。
なぜ『決まり事は絶対』なのか?
これは仕事でも同じですが、決まり事が徹底されなければ、リカバリーに労力を割くことになるからです。生産性は低下します。道路で信号機が故障なく作動するから円滑に交通機関が機能します。信号機が故障すれば事故や渋滞が多発します。それと同じです。
学生野球はとても短いです。すぐに卒団、卒業になります。短い期間で結果を出すためには生産性高いチーム運営をしなければなりません。選手の技術習得効率を高め、試合で綻びを露呈しないためにも「決まり事」を明確にし、選手全員が『決まり事は絶対』という意識を持ってやり切ることが必要と考えます。
選手の年齢が幼いほど「決まり事の数」は少なくした方がよいと思いますが、小学生であろうと「決まり事は絶対」というのは同じだと思います。
それは社会に出た時の「法令遵守」に通じるものだと思います。みんなが法令を遵守すれば、社会全体の生産性が上がります。