野球において、場面ごとに最も適切なプレーを確率高く遂行できる選手のことを「野球センスが良い」という表現で評価されることがよくありますが、私は子どもを評価する時に「野球センスが良い」という言葉を使わないようにしています。
そもそも「最も適切なプレーを確率高く遂行する」には
①状況判断の正しさ
②状況対処オプション選択の正しさ
③選択したオプションの遂行能力
という3つの行為が折り重なっており、この3つすべてが揃った時に「最も適切なプレーを遂行する」が完成します。逆に①〜③のどれか欠けていても「センスが良い」という評価はもらえません。つまり「センスが良くない」という選手にもいくつかのパターンがあります。特に①と②は他人が外から観ていても判別はできず、本人に聞き取りをしないとどちらを間違っていたのかはわからないくらい微妙なものです。指導者は①〜③のどこに問題があるのか、正確に把握しなければ正しく指導はできないと思います。
「センスの良いプレー」を子どもに身につけさせるには、良くないプレーをした選手において①〜③のどこに問題があったのかを把握しながら指導しなければなりません。時には練習を止めて、本人の意図を確認しながら指導することも必要です。
これらを正確に捉えることを行わず「センス」という曖昧な言葉で片付けてしまうことは、指導者として不適切だと私は思います。